ベジタリアンはただの食生活ではない!ロンドンから学ぶ食文化

1-1:倫理的理由(動物愛護、環境保護など)

英国は動物愛護が世界で最も進んだ国のひとつであり、家畜を含む動物の愛護や権利保全、環境保護に対する意識が高く、日本と比較すると基準の高い規制が定められています。また、動物愛護団体や環境保護団体などの活動も盛んであり、これらの団体が国の政策やメディアに与える影響も小さくありません。ドイツでビーガン4専門の小売店を展開し、英国への進出も予定しているビーガンズの従業員は、ビーガンになった理由として、「食肉にされる家畜の悲惨な状況をテレビで目にし『動物を食べる必要があるのか』と自問した結果、ビーガンになることを選んだ」と言われています。このように、欧米では倫理上の理由からベジタリアンを選ぶ消費者が少なからず存在しおり、近年は、大手スーパーなどでも動物保護に配慮した商品を積極的に店頭に並べる傾向が出てきています。英国ベジタリアン協会も、ベジタリアンを推奨する理由として、「魚や家畜を含め、全ての生き物は痛みを感じるものであり、動物性食品を取らないことは動物愛護を通じるとの考え方に賛同できる」との見解を伝えています。

1-2:健康志向

英国は欧州で最も肥満率が高い国の一つであり、成人の25%、子供の20%が肥満と診断されています。肥満人口は、20年前に比べると15%増加しており、今後はさらに増加すると予想されています。肥満は心臓病や2型糖尿病、身体障害などを引き起こすとされ、英国において肥満対策に費やされる予算は年間90億ポンド10に及ぶほか、肥満で働けなくなった者に支払われる社会福祉

手当が問題視されるなど、肥満は深刻な社会問題となっています。また、

高コレステロール予防などの健康面の観点から、消費者の15%が「赤身肉を避ける」と回答しており、この割合は乳製品(9%)やグルテンを含む食品(8%)よりも高い。また、赤身肉を避ける傾向は、16歳から34歳の比較的若い層の消費者においてさらに強いとの結果も出ています。

1-3:食品安全志向

消費者がベジタリアンを志向する要因の一つとして、2013年の馬肉混入問題発生時には、消費者の加工肉食品に対する不信感や不安感が高まりましたが、その後の調査によると、消費者の77%は、食品産業があまりにも大量生産に頼りすぎていると認識しており、また34%は、食品原材料に対する食品メーカーや大手スーパーの意識の低さを指摘しています。

1-4:宗教上の問題

多様な食文化が共有していることもベジタリアンが多い一つの要因であります。
仏教やヒンドゥー教、ユダヤ教、イスラム教、シーク教などの特定の宗教・思想をもつ消費者などは、肉や卵、乳製品等が食べられない者が数多く存在することから、英国の学校給食や社員食堂、機内食などのケータリングでは特に、食事提供側の理解・準備の不足などでトラブルを起さないよう対応を取る必要があり、対応策として「ベジタリアン向け(Suitable for Vegetarians)」のメニューを提供することは、最近はごく一般的になっている。例えば、食肉について制限がある思想や宗教を持つ生徒に対しては、肉や肉エキスが入っていないベジタリアンやビーガンのメニューを提供していることが多いです。
1-5:ライフスタイル、健康な食生活の観点
自身の健康や美容を保つために、ベジタリアンの食生活を送る、またはベジタリアンの食生活を一部取り入れる消費者も増えている。野菜やフルーツを取りいれたダイエットやデトックス目的のレシピなどは、インターネットや書籍などで多く紹介されているほか、最近では、レストランやカフェなどの他にも、野菜やフルーツでもベジタリアンという言葉がキーワードとなっています。 食品添加物は、必ずしも悪いというわけではないが、消費者は、より自然なもので、クリーンな食べ物を食べたいという傾向が強くなってきています。ベジタリアン食品は、肉加工品などに比べて飽和脂肪や糖質が少なく、さらには野菜や果物もより多く取れるため、健康に良いとされています。また、ベジタリアンには、倫理的に良いというイメージがあり、ベジタリアンになることで、自然でクリーンなライフスタイルを送ることができると期待する消費者は多いはずです。
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